遅れてきたモラトリアムこと病気休職している間に9月になりました。気が付けば夏も終わります。働いていれば、季節の変わり目のことなどあまり考えなかったと思いますが、とにかく自由になる時間だけはありますので、いろいろと思うことが多くなります。
夏が終わるとはいえ、今年もまだ4か月もあるのですが、そういえば休職中のふるさと納税はどうなるんだろうか、と疑問に思いましたので、例によって休職者の観点から整理したいと思います。
Q:そもそも休職中でもふるさと納税は可能か。
結論から言うと、当然ながら可能です。「ふるさと納税=実質2,000円の負担で自治体からの返礼品がもらえるお得な制度」というのが一般的な認識だと思いますが、そもそも、ふるさと納税自体は自治体に対する寄付行為と同義であり、本来的にその行為自体は収入の有無や行為者の属性に左右されるものではない、ということです。ただ、私も例に漏れず「お得だから」という理由でふるさと納税したい訳ですので、休職中でも「実質2,000円負担」が有効か、というのが次の疑問になります。
Q:休職中にふるさと納税を行っても「実質負担2,000円」が適用されるか。
ふるさと納税の仕組みは、所得に応じた控除額が、所得税もしくは住民税から控除(あるいは還付)される、というものです。
所得税からの控除:ふるさと納税を行った年の所得税から控除
住民税からの控除:ふるさと納税を行った翌年度の住民税から控除
所得税は当年の所得、住民税は前年の所得によって決定されます。つまり、2017年を例にとれば、控除対象となる所得税・住民税ともに2017年の所得によって決定されますので、2017年に所得が発生したか否かで、ふるさと納税によるメリットを享受できるかどうかが分かれます。
肝心の「休職中に所得が発生しているかどうか」ですが、そもそも休職中の収入に関しては次の2種類が考えられます。
①休職期間中も給与が支払われる(多少の減額などがあったとしても)
②休職期間中は給与は支払われないが、健康保険組合等から傷病手当金が支給される
①のケース、給与が支払われる場合は、もはや休職だとかそんなことはどうでもよく、収入面だけ見れば給与所得が発生していますので、所得税と住民税も納めることになります。従って、通常の健全に働いているサラリーマンと同じようにふるさと納税を活用することができます。
一方、②のケース、給与ではなく健康保険組合等から傷病手当金を支給されている場合ですが、傷病手当金は非課税であり所得税は徴収されません。また、翌年の住民税の課税対象にもなりません。つまり、当年の所得税も、翌年の住民税も、傷病手当金から発生しないことになります。
ということで、休職期間中に
・給与としての支払いを受ける=通常どおり、ふるさと納税のメリットを享受可能
・休職期間中は傷病手当金を受給する=ふるさと納税のメリットは享受できない
というのが結論になります。
私の場合は、労組が非常に強い会社だからなのか何なのかわかりませんが、幸いにして休職期間中もしばらくは給与が支給されます(一定期間経過後に減額あり。また、賞与は支給対象外!)ので、今年は、ほぼ例年どおりのふるさと納税が可能ということになります。冒頭にも申し上げたとおり、時間だけは有り余っていますので、じっくり選びたいところです。
蛇足ですが、サラリーマンも住宅ローン減税とふるさと納税の2本立てにより、意外と税金が戻ってくるものだなと改めて感じています。特に住宅ローン減税については納めた所得税が相当戻ってきますので、ちょっとやりすぎではないか、とさえ思います。制度がある以上は利用させてもらいますが。